久保田スラッガー
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ゴリラクリニックベースボール
紡いだ縁がコラボレーションに至るまで。
本日は、ゴリラクリニックベースボール(以下、GCB)の今浪隆博監督と久保田スラッガーの小川久範さんにお越しいただきました。
今浪監督は、長年スラッガーを愛用されていると思うのですが、今回、GCBとしてもスラッガーさんとのコラボアイテムなど作られたと伺いました。
その辺りについても、お二人から詳しくお話をお伺いできればと思います。
今浪監督とスラッガーとの出会いは?
まず、最初に今浪監督とスラッガーとの出会いについてお伺いしたいのですが?
今浪隆博 監督(以下、今浪):いつだったかな?高校生か中学生位の時に、当時、西武にいた松井稼頭央選手がピンクのラベルが付いたスラッガーのグローブを着けてるのを見て、「なんだアレ、ムチャクチャかっこいいやん!」っていうのが出会いでしたね。確か、セカンドの辻さんも使ってて、それで「スラッガー」っていうグローブがあるんだっていうのを初めて知ったんです。
その後、当時通っていた学校の近くにあるスポーツ店にグローブを買いに行った時に、スラッガーのグローブを見つけて、それを買ったのが始まりですね。それまで、野球のグローブのラベルは、黒・紺・赤しか見たことがなかった。それが、ピンクのすごい派手なラベルで衝撃でしたね。
そこで買って使い始めたのがきっかけかな?
それから、そのグローブを持って平安高校の練習に行ったときに、当時のコーチに、「おまえスラッガーが好きなんか?」って言われて、「いえ、ちょっと初めて使ってみようと思いました」って言ったら、江頭重利さんっていう人を「紹介するよ」って「福岡にいるから」って言われて。その方が、久保田スラッガーのグラブ型付けのパイオニアで「スラッガーの革は息をしている」っていう名言のおじいちゃんなんですけど。その方を紹介していただいて、それから江頭さんの奥さんになるんですかね?女性の方に直接電話をして、福岡から送ってもらっていました。
ーー思わぬ巡り合わせでしたね。その後、大学に進学された際には、大手メーカーからお声が掛かっていたと伺いましたが、今浪監督は変わらずスラッガー 一筋だったのでしょうか?
今浪:そうですね。大学に進学して、高校の時も、まあ、良い選手だったんで(笑)
所謂、超一流メーカー何社かが、「ウチの道具を甲子園で使ってください」「もし使ってもらえるなら、大学でも社会人でも、この先もずっとサポートさせていただきます」ってことをまあ、言われてたんですけど、その時に「いやいや、そんなのいらないよ」「自分でお金を払って使いたいものを使うから結構です」って断っていたんです。
確か、あるメーカーさんがスラッガーのグローブを真似して、スラッガー風にして作ってきて(笑)で、それを着けてみたらすごく良くて、「わっ、すごいな〜」って思ったんですが、甲子園で使ったらエラーして、それから二度と使わんっていう(笑)
まあ、そこでミスをしたことで、やっぱりダメだと。「スラッガーがいいな」って。愛着があるものを使いたいって思って、それからは、ずっと使い続けてましたね。
ーーなるほど。スラッガーへの愛着が相当に強かったことが伺えるエピソードでしたが、当時は野球道具全てスラッガーで統一されていたのでしょうか?
今浪:当時、明治大学に行った頃かな、神宮球場のすぐ近くにスラッガーの千駄ヶ谷店があって。今の東京支店ですね。いつも、リーグ戦の終わりとか、ことあるごとにスラッガーに寄って、グローブを見ていたんです。それこそ、練習着も全部スラッガーだったし。着るのもスラッガー、グローブもスラッガー。でも、バットだけはちょっと…。
ーーバットだけは、ちょっと?
今浪:うん、ちょっと…。ちょっとね…。ちょっとやっぱり、俺の腕に問題があって、スラッガーのバットを使いこなし切れなかったっていう(笑)
ーーバット以外は、スラッガーご愛用の今浪監督ですが(笑)、その当時から小川さんとは親交があったのでしょうか?
小川久範さん(以下、小川):その当時は、すごい羽振りがいいヤツが来てるって東京支店で話題になってましたよ。大学生なのに、バンバン来る度に何かしら買って帰るんで。しかも、カードで支払いするし(笑)僕らが大学生の時なんて、カード持ってる大学生っていなかったですからね。だから、「カードで払っていくぞ、あの明治の子」っていう(笑)
ただ、そんなに密に話すことはなかったですね。お客さんの大学生と店員っていうくらいで、そこまで深くはなかったです。
今浪:でも、何か一つ買い物をすると、「これ、持って帰ってよ」って。プロのお下がりとかをもらって帰ってましたね。
で、結局そのまま、ずっとスラッガーが好きで使い続けて、プロ野球選手になった時に、知らない番号から電話がかかってきて、「どう?決まってる?」って言われて、それがスラッガーさんからだったんですけど、「いえ、決まってないです」って言ったら、「今までありがとう、これからも、もしよければサポートをさせてもらえませんか?」って言っていただいて、「ありがとうございます!」って言って今に至ります。
ーーそこから、どうやって現在の様な関係になられたのでしょうか?
小川:僕がその当時、プロ球団でヤクルトさんとDNAさんを担当していたので、やっぱり、今浪君がヤクルトに移籍してきてからですね。今浪君は、プロに入ったときは日ハムだったんで、交わることがあまりなく、球場で会っても挨拶くらいだったんですけど、ヤクルトに移籍してきてから交流が増えましたね。やっぱりこう、今浪監督は、良いキャラなんで(笑)ヤクルトにも新しい風を吹きこんでたんじゃないですか。そこからすごいく密に、道具の話だけじゃなくて、仲良くさせてもらって。
長年愛用して感じる
スラッガーの良さとは?
ーー今浪監督が、ずっと愛用し続けて感じているスラッガーのグローブの良さとはなんでしょう?
今浪:良さというか一番の特長は、やっぱり関節が(笑)そこは言っていいですか?関節があるというか、しっくりくるというか、まず、型付けっていう、グローブといえば硬いのしかなかった時代に着けた瞬間に握れるっていう衝撃?さらに、ただ柔らかいだけじゃなくて、ここから自分のカタチに出来ていく。自分の使いたいように使えていくっていうのが、まずひとつ大きな特長ですよね。今でこそ、どのメーカーもやってますけど、スラッガーが走りでしたよね?
また、スラッガーの場合、お店に行って、自分の作りたいカタチ、こう取りたいっていうのを直接職人さんに話をすることが出来るんです。大手になると、職人さんに伝えるまでに何人か介す事になるので、その違いは大きいです。「こういう風に使いたいんです」って、今まで使っていたグローブをパッと見せて、理解してもらえたら、その意向を汲んで型付けを行ってもらえる。だから、その人の本当にオリジナルになりますよね。型付けする前のグローブは一緒でも、型付けすると、全く別モノの、その人に合ったものを提供してもらえるっていうのは、すごいメリットというか、唯一無二って言っていいんじゃないかな。
だからインターネットで買わないでください(笑)
小川:それは、間違いないですね。僕らも今まで数多くグローブを見てきてるんで、それこそ少年野球からプロ野球まで。なので、持ってきてもらったグローブを見ると、「ああ、この子って、こういう使い方をするんだ。だったら、こういう品番の方がおすすめできるな」とか、すぐ分かります。サンプルを着けてもらって「これどう?使いやすいんじゃない?」って聞くと「ああ、使いやすいです!」なんて、ハマったりするんで。直接、ユーザーとお話が出来るっていうのはメリットですね。
今浪:当時は、型付けだけに止まらず、既にスラッガーがやっていたことを、超一流と言われるメーカー各社がこぞって真似をしてましたね。例えば、ウェブにしても、今では当たり前の様に二段ウェブが使われてますけど、あれもスラッガーが最初ですよね?いろんなことの走りっていうのが、実はスラッガーから起こっている。アシックスのスパイクも元々はスラッガーですよね?
小川:うん、そうですね。実は、昔、野村克也さんが、南海ホークスにいた頃って、今ほどアシックスさんが、野球道具に強くはなかったんですよ。これから野球道具をアシックスさんが作っていくぞってなった時に、スラッガーに、スパイクを作る技術を教えて欲しいって。当時の南海ホークスのスパイクって、横がアシックスラインでベロはスラッガーだったんですよ。そんなダブルネームの時代があって。でもまあ、気付いたら、アシックスさんが、世界のアシックスさんになっちゃってた(笑)
あぐらをかいてたわけじゃないんですけど、気付いたらもう届かないところに行っちゃったんです。でも、そういう時代があったんですよね
今浪:結局、スラッガーを使っていて本当に良いところは、まず愛着が湧く。まあ個人的に好きっていうのもあるし、こういうラベルや色使いをやり始めたパイオニアでもある。黒、赤、紺、以外の色を使っていいんだよっていうのを教えてくれたのが、やっぱりスラッガーというメーカーだったし。そして、実用性もある。使いやすい。すぐに使える。実用性プラスアルファお洒落。
だから、野球界に松井稼頭央さんがピンクを持ち込んだっていう、やっぱりアレとかお洒落でしたよね。野球界のお洒落の走りでもあるかなって思います。
そこは、大きな会社ではないっていうメリットなのか、やっぱり自由度が高い?例えば、ここに二段ウェブっていうのを使ってるっていうのも、恐らく柔軟な考えがなければ、そんなことを思いつかない。固定概念に囚われずに常に新しいものを創造していく、っていうところは、選手としてもインスパイアされましたね。自分のプレーに対しても、決められた考え方じゃないことをしてもいいんだっていうことをメーカーから教えてもらう。「こうしていいんだ」「ああしていいんだ」っていうね。使いながら、お互いに、こう成長していけるようなグローブであり、メーカーなのかな。
小川:最高。気持ちいい(笑)